こんにちは、元島しんです。今回の総括質問では、まちづくり条例の一部改正案から、平塚シーテラスの改善、病児・病後児保育施設の広域連携、多子世帯への優遇制度、養育費確保支援まで、5つのテーマを取り上げました。答弁の内容も含めてレポートします。
もくじ
1.まちづくり条例の一部改正案 ―エンバーミング施設と駐車場ルール
まちづくり条例の一部改正について、パブリックコメントが行われた素案の段階です。最終的な議案が上がるのは半年後とのことですが、その前提となる現状をまず確認しました。
エンバーミング施設の安全管理
エンバーミングとは、衛生保全のためにご遺体の血液を防腐液に入れ替える処置のことです。今回の改正では、こうした施設を新設する際に近隣住民への説明会を義務づける内容が含まれています。
- 市内の施設数:現在1か所。まちづくり条例制定前に開業したため、条例に基づく近隣説明が行われたケースはなし。
- 開業に必要な許可:特別な許認可は不要。
- 改正の理由:葬儀の形態が多様化し、単独のエンバーミング施設が今後増える可能性を踏まえ、義務化の対象に追加したとのこと。
再質問では、過去にエンバーミング施設に関するトラブルがあったか尋ねましたが「承知していない」との回答。トラブルがないのになぜ義務化するのかという問いには、「葬儀の形が変わってきている中で、近隣への周知は必要と判断した」との説明でした。説明会後に住民と事業者の意見が対立した場合の調整方法(再説明の要求書提出、意見書提出、紛争調整員への相談制度など)や、周知対象範囲(開発区域から半径100mが答弁の訂正で判明)、既存施設が増築する場合も対象になること、薬剤処理に事前の届出が不要であることなどを確認しました。神奈川県内の状況については、当初「基準を設けている市はない」との回答でしたが、後の訂正で川崎市に要綱があることが判明しました。
商業地域の各地駐車場ルール見直し
ワンルームマンション等を建てる際の駐車場設置基準が、これまでの2km以内から、通常300m以内・駅周辺600m以内に変更される見直し案です。
- 駅前への影響:紅谷町・明石町など駅前の商業地域(容積率500%区域及び防火地域)は、そもそもワンルーム形式建築物の駐車場設置義務がないため、大きな影響はないとの回答。
再質問では、都市マスタープランで中心市街地とされる西仲町・宝町・宮の前などが例外エリアに含まれていない点を指摘し、将来的な追加の可能性を尋ねましたが、「様々な意見を聞きながら取りまとめていく」との回答にとどまりました。
【感想】 エンバーミング施設のような「近くにあると分かると不安になるけれど、いざという時には必要な施設」は、後から「知らなかった」「聞いていない」となるのが一番こじれます。トラブルが起きていないうちに説明会を制度化する今回の姿勢自体は前向きだと感じますが、答弁の途中で二度も訂正が入ったのを見ると、まだ市としても手探りの部分が多い印象を受けました。市民としては、決まったルールよりも「困ったときに誰に相談できるか」がはっきりしていることの方が安心材料になると思います。駐車場ルールについても、駅前の空き地をどう使うかは暮らしやすさに直結する話なので、今後の詰めの議論を注視していきたいです。
2.平塚シーテラスの改善、安全対策とテナントの現状
昨年10月31日に開園した平塚シーテラスは、5月末までに約50万人が来園しています。
安全対策・熱中症対策
- 海の危険性を知らせる注意喚起の看板を設置し、パーゴラへの遮熱シート設置やパラソル配置で日陰スペースを確保。さらなる対策は指定管理者が検討中。
再質問では、看板の大きさや夜間の見やすさへの配慮(検討中)、外国人観光客向けの英語表記がない点(今後の動向を踏まえ検討)を確認。特に「立入禁止」の表記へのふりがな追加も提案しました。また、車椅子利用者向けエレベーターの稼働時間(9時〜17時15分)について、稼働時間外に津波などの災害が発生した場合の避難方法を掘り下げましたが、「エレベーターを使わず北側へ徒歩で避難していただく」という回答が繰り返され、車椅子利用者の避難手段については明確な答えが得られませんでした。エレベーター停止時には管理者が屋上や園内に利用者が残っていないか確認する運用とのことです。24時間営業のコンビニがまだ入っていない点についても、防犯上の懸念を尋ねましたが「夜間は照明を落として人が集まらないようにする対策を取っている」との回答でした。
テナントとエントランス棟
- 現在マルシェ棟で11店舗が営業中。エントランス棟の貸しスペースは当初コンビニを想定していたが、幅広い使い方を想定し計画を変更。使用料は月20万円。
- 入居時期は未定だが、事業者が誘致を継続中とのこと。
再質問では、フランチャイズ形態での入居可否(事業者判断、特に制限なし)、新規出店希望者の問い合わせ先(指定管理者)を確認しました。
駐車場料金とSNS運用
現在の駐車場料金は20分100円(夏場30分300円)で、店舗を利用しても割引はありません。
- 店舗利用の駐車料金減免について 店舗利用時の割引(減免)を行う場合、一般的に店舗側が費用を負担する仕組みになる。現時点で出店店舗側からの要望もないため、減免を導入する予定はない。
- 市内店舗との広域割引について シーテラスの駐車場はあくまで「公園利用者のための駐車場」であるため、市内店舗と連携した割引制度などは検討していない。
- 駐車場アプリ:公募設置等計画に記載された「空き状況確認アプリ」の名称や、空車台数まで分かる仕組みへの改善は「変更の話は聞いていない」との回答。
- SNS運用:Instagramのフォロワー数は開設半年で600人弱(同時期に開業した茅ヶ崎市の道の駅は2万3000人)。運用は指定管理者が行っており、画像サイズの不統一や開業前画像の使用など課題を指摘しましたが、「指定管理者にご意見として伝える」との回答でした。
【感想】 50万人が来園しているという数字は素直にうれしいものですが、質問を重ねる中で「エレベーターが止まった後、車椅子の方はどう避難するのか」という一番大事なところがはっきりしなかったのは、率直に不安を覚えました。海辺の施設である以上、津波はいつ来るか分からないものです。「北へ逃げてください」だけでは、体が不自由な方や小さな子ども連れの方にとって具体的な行動には結びつきません。にぎわいづくりと同じくらい、いざという時に誰も取り残さない仕組みづくりを急いでほしいと感じています。
3.病児・病後児保育施設の広域連携
厚木市など近隣7市町村が広域連携している事例を踏まえ、平塚市の対応を確認しました。
- 令和6年11月に市内3か所目の病児・病後児保育施設を開設。
- 広域連携により収入増が見込める一方、市民自身が利用できなくなる可能性があるため、まずは市内ニーズへの対応を見極めている段階で、県全体や近隣自治体との広域連携は現時点で考えていないとの回答。
- ある施設では予約不要のサロンを自主的に開催しており、他施設でも保育の様子が分かる動画をホームページで紹介するなど、身近に感じてもらう取組を各施設の判断で実施。
再質問では、定員12名まで拡張可能な施設が定員6名で運用されている点について、広域連携による定員拡張や経営安定化の検討を求めましたが、「まずは平塚市民が確実に利用できる状態を数年かけて見極める必要がある」との回答。県全体での広域利用システム構築や財政支援の要望についても「今後の利用状況を見ながら判断したい」とのことでした。前日朝7時からの受付枠に空きがある場合の時間差運用(他市民の受け入れ)については、「施設側の要望を聞きながら、まずは市内での充実を図った上で検討する」との回答でした。
【感想】 定員12名の施設が6名で運用されているというのは、共働きで子どもが急に熱を出したときに「なんで枠があるのに使えないんだろう」と感じる保護者がいてもおかしくない状況です。市が「まずは平塚市民のために」と慎重になる気持ちも分かりますが、その「まず」が2〜3年続くとなると、その間に困る家庭は待ってくれません。空いている時間帯だけでも他市と融通し合うような、小さな工夫からでも前に進めてもらえたらという思いです。
4.多子世帯への優遇制度充実を目指して
保育料多子軽減の年齢制限撤廃
現行制度では、第1子が未就学児である場合に限り第2子が半額・第3子以降が無償となり、上の子が小学生になった途端に下の子が「第1子」扱いとなって保育料が全額負担に戻ってしまいます。近隣の藤沢市では年齢制限撤廃を求める陳情が採択され、令和7年度から制度が見直される予定です。横須賀市・川崎市でも既に年齢制限を撤廃しています。
- 現状の保育料(年額・令和7年4月1日時点):第1種930人で約3億8000万円、第2種582人で約1億1000万円、第3種以降80人で0円、合計約4億9000万円。
- 年齢制限撤廃の考え:様々な意見があることは認識しつつ、現状は国の制度に沿った運営を行っており、試算は行っていないとの回答。
再質問では、藤沢市の試算額(約1億円)を踏まえ、平塚市でも一定規模の負担増(発言の中では概算として言及)が見込まれる可能性を指摘しましたが、具体的な試算や撤廃方針の明言は得られませんでした。
教材費の無償化
- 令和5年度の子供の学習費調査によると、教材費に該当する図書・学用品・実習費等は公立小学校で年額2万6860円、公立中学校で年額3万4341円。
- 市の見解は「国の動向や他自治体の取組の情報収集に努める」というもので、経済的支援が必要な家庭には就学援助制度で対応しているとのこと。
再質問では、近隣市(海老名市など)で実施されている段階的な無償化の導入を求めましたが、同様に「情報収集に努める」との回答にとどまりました。
【感想】 「上の子が小学生になった途端に保育料が倍になる」という現実は、制度の外側にいると気づきにくいですが、当事者にとっては家計に直結する大きな変化です。何歳差であっても兄弟は兄弟であるはずなのに、線引き一つで負担が大きく変わってしまうのは、素朴に「おかしいな」と感じる部分だと思います。近隣市が次々と制度を見直している中、平塚市が「試算すらしていない」というのは、少し足踏みが長すぎるのではないかと感じました。教材費についても、家庭の負担が地味に積み重なる部分なので、小さな一歩でも前進が見えるとありがたいです。
5.養育費確保支援の強化と法定養育費
離婚後、養育費を毎月確実に受け取れるかどうかは生活に直結する切実な問題です。当事者の視点から質問しました。
- 既存の補助金の利用実績(過去3年):養育費保証促進補助金は交付実績なし。債務名義取得促進補助金は令和5年5件、6年10件、7年8件。
- 制度上の課題:保証促進補助金は初回契約時のみ交付されるため契約更新時の負担が続くこと、公正証書作成の手続きが複雑で作成する人が少ないこと、公正証書作成で安心してしまい保証契約に至らない人が多いことなど。
- 法定養育費制度(2026年4月開始):離婚時に具体的な取り決めがなくても、子ども1人につき月額2万円を法的な最低養育費として請求できる制度。市としては、この制度により養育費への認識が高まり、離婚前相談での相談件数増加が見込まれるとの認識。
- 保証会社との協定・市の立替払い:保証契約は任意であり保証会社ごとに条件が異なるため、市が特定の保証会社と協定を結ぶのは難しいとの回答。債権回収の困難さや公平性の観点から、市が立て替えて個人に養育費を支払うことも検討していないとのこと。
再質問では、2023年の質問時点から検討状況がどう進んだか確認しましたが、「利用が少ないことは課題と認識しており、意見を聞きながら運用改善に努めたい」との回答。法定養育費の月額2万円分だけでも保証会社を通じて確保できる仕組みについても提案しましたが、「公正証書の作成と補助金の活用という現行の仕組みが最も望ましい」との回答でした。神奈川県が実施している強制執行申立て補助など、県の関連事業を市のホームページで案内することについては「必要な情報の集約・案内について検討したい」との答弁を得ました。
【感想】 養育費が入るか入らないかで暮らしが大きく変わる、というのはひとり親家庭にとって毎月訪れるリアルな不安です。制度自体は用意されているのに利用実績がほとんどないというのは、制度が悪いというより「使うためのハードルが高すぎる」ということなのだと思います。公正証書を作ること自体が精神的にも手続き的にも重い作業であることを踏まえると、「まずは公正証書を」という現状の案内の仕方だけでは、本当に困っている人には届きにくいのではないでしょうか。法定養育費という新しい後押しができた今こそ、当事者目線での制度の見直しを期待したいところです。
